褥瘡は高齢者において一般的な問題であり、特に認知症患者では標準的な治療法が確立されていない。本研究は、認知症の有無が褥瘡治療の実施状況や退院時の治癒結果にどのような影響を与えるかを評価することを目的とした後ろ向きコホート研究である。2014~2015年のデータを使用し、1,198の病院から65歳以上の20,386人の患者を分析した。
患者の47.3%が重度の認知症を有し、20.1%が軽度の認知症、32.5%が認知症を有していなかった。重度認知症患者は、皮膚移植や皮弁手術などの高度治療を受ける割合が認知症のない患者に比べて有意に低く、退院時の治癒率も低いことが分かった。これらの結果は、認知症の重症度による治療格差を示唆しており、脆弱な高齢者集団の治療結果を改善するためには、個別化されたケア戦略が必要であることを強調している。