小売店で働く従業員の方はその仕事を通して、認知症のある方を含むお客さんの日々の生活を支え、地域に貢献しています。Relational Job Design Theoryという理論によると、自分の仕事がお客さんに良い影響を与えているという認識が、仕事に対する満足度や定着意向・生産性の向上に寄与するとされています。この研究では、コンビニエンスストアの従業員を対象とした認知症研修プログラムを評価したデータを用いて、Relational Job Design Theoryが小売店の従業員にも適用できるのかを検証しました。一時点のデータを用いた横断研究では予測通りの関連が示され、この理論を小売店業界でも活用できる可能性が示されました。介入研究では介入が失敗したために因果関係を検証をすることができませんでした。これまで、小売店の地域貢献、つまり病気や障害を抱える地域のお客さんの生活を支えているということはお店の経営とは別のものだと考えられていましたが、実はお店の経営にも良い影響をもたらすのかもしれません。今後の研究で厳密な因果関係が示されれば、小売店の経営者が従業員による地域貢献を積極的に促すようになることが期待されます。
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